Disguise masquerade
――私はThief、Clown mask。貴方の心を奪います
カーニバルの片隅、薄暗い街の片隅にひらりと封筒が舞い降りる。
それは鉄格子の隙間にひらりと滑り込み。
手に取る少女はその隙間から空を見上げる。
今日はとりわけ月が大きく映える。
綺麗…と息を吐くその一瞬で視界が闇に覆われる。
――私はThief、Clown mask。貴方の心を奪いに参上しました
囁かれる甘い声。
囚われの少女は吐き出した息を、次の瞬間には飲み込んで。
次に息を吐き出した瞬間、身体は黒いマントを纏う男と共に空に舞い。
大通りのカーニバル宛ら微かに聞こえる軽快な音楽をバックに軽やかに踊る。
――私はThief、Clown mask。貴方の僅かな安らぎを
眠る少女に毛布を被せ、唇にそっと指を這わせ。
――私はThief、Clown mask。貴方が私を忘れぬ限り何時か貴方自身を奪います
マントを翻し、夜の闇へと溶け込んだ。畳む
#SS 389文字
――私はThief、Clown mask。貴方の心を奪います
カーニバルの片隅、薄暗い街の片隅にひらりと封筒が舞い降りる。
それは鉄格子の隙間にひらりと滑り込み。
手に取る少女はその隙間から空を見上げる。
今日はとりわけ月が大きく映える。
綺麗…と息を吐くその一瞬で視界が闇に覆われる。
――私はThief、Clown mask。貴方の心を奪いに参上しました
囁かれる甘い声。
囚われの少女は吐き出した息を、次の瞬間には飲み込んで。
次に息を吐き出した瞬間、身体は黒いマントを纏う男と共に空に舞い。
大通りのカーニバル宛ら微かに聞こえる軽快な音楽をバックに軽やかに踊る。
――私はThief、Clown mask。貴方の僅かな安らぎを
眠る少女に毛布を被せ、唇にそっと指を這わせ。
――私はThief、Clown mask。貴方が私を忘れぬ限り何時か貴方自身を奪います
マントを翻し、夜の闇へと溶け込んだ。畳む
#SS 389文字
冬の村
深閑と雪が降り積もる村がある。
一年中、ずっと止まぬそれと共に暮らす村がある。
彼らは日の光の優しさを知らない。
彼らは雪解けの春の香りを知らない。
子供たちは雪でつくられた自分たちの秘密基地の中で
親から手渡される絵巻物でしる外の世界に夢を乗せて語り合う毎日。
春の花を 夏の空を 秋の恵を
彼らは知ることなく一生を終える。
ある歳、1人の少年がこの閉ざされた冬の世界に疑問を投げかけた。
大人たちは子供の戯言と
子供たちは変わったやつだと
少年の言葉を真面に聞いてくれることは無い。
それでも少年は見てみたかった。
この村以外の世界を。
ある朝、1人で村を出る決意をした少年。
村の出入り口で待ち構えていた長老が一つの地図を差し出した。
「知ることが悪い事ではない。しかし、それが幸福とはいわん」
少年は首を傾げつつもその地図を受け取る。
始めてみる外の地図に目を大きく見開いた。
「これを持ち出るもよし、だが、それはこの村と悠久の別れとなるだろう」
長老は尚も語る。
「外の世界は、この村より遥かに魅力的だ。だが我らはこの村に留まる事を選んだ。少年よ、お前は先祖代々が選んだ村を捨て世界を欲するか?」
少年は長老の目を見据え答えた。
「それでも知りたいのです。皆がこの村を選んだ理由を。それは此処ではかなわない事なのだから」
畳む
#SS 542文字
深閑と雪が降り積もる村がある。
一年中、ずっと止まぬそれと共に暮らす村がある。
彼らは日の光の優しさを知らない。
彼らは雪解けの春の香りを知らない。
子供たちは雪でつくられた自分たちの秘密基地の中で
親から手渡される絵巻物でしる外の世界に夢を乗せて語り合う毎日。
春の花を 夏の空を 秋の恵を
彼らは知ることなく一生を終える。
ある歳、1人の少年がこの閉ざされた冬の世界に疑問を投げかけた。
大人たちは子供の戯言と
子供たちは変わったやつだと
少年の言葉を真面に聞いてくれることは無い。
それでも少年は見てみたかった。
この村以外の世界を。
ある朝、1人で村を出る決意をした少年。
村の出入り口で待ち構えていた長老が一つの地図を差し出した。
「知ることが悪い事ではない。しかし、それが幸福とはいわん」
少年は首を傾げつつもその地図を受け取る。
始めてみる外の地図に目を大きく見開いた。
「これを持ち出るもよし、だが、それはこの村と悠久の別れとなるだろう」
長老は尚も語る。
「外の世界は、この村より遥かに魅力的だ。だが我らはこの村に留まる事を選んだ。少年よ、お前は先祖代々が選んだ村を捨て世界を欲するか?」
少年は長老の目を見据え答えた。
「それでも知りたいのです。皆がこの村を選んだ理由を。それは此処ではかなわない事なのだから」
畳む
#SS 542文字
RosePerfumeの罠
「君の言うところの犯人であることを私は否定しよう」
探偵を名乗る少年を前に男は不敵な笑みを向ける。
「まず……だ、君が語る証拠は私を示すものではなく、この方法ならば私であろう……という予測に基づくものである。違うかね?」
少年は悔しげに唇を噛む。そんな姿を視界に納めた男は「ふむ」と小さく声を漏らし思案を巡らせた。
「なるほど、どうやら今の私の推理は強ち外れていなさげだ。なら次に進んでみるとするか。君にとっては私が犯人でなければ困る……ということだろう?」
「……!」
視線が逃げたね、これは正解でよさそうだ。では次だ……ここ迄の事実から、君はこの事件の犯人が私ではない事を知っている」
男が少年との距離を一気に縮める。少年は微かに身体を震わせ本能的に彼から距離を取ろうと後退るも彼はそれを許さない。
「このご婦人を殺めた犯人……それは」
「……そうだ、僕だ!」
「君ではない」畳む
#SS 380文字
「君の言うところの犯人であることを私は否定しよう」
探偵を名乗る少年を前に男は不敵な笑みを向ける。
「まず……だ、君が語る証拠は私を示すものではなく、この方法ならば私であろう……という予測に基づくものである。違うかね?」
少年は悔しげに唇を噛む。そんな姿を視界に納めた男は「ふむ」と小さく声を漏らし思案を巡らせた。
「なるほど、どうやら今の私の推理は強ち外れていなさげだ。なら次に進んでみるとするか。君にとっては私が犯人でなければ困る……ということだろう?」
「……!」
視線が逃げたね、これは正解でよさそうだ。では次だ……ここ迄の事実から、君はこの事件の犯人が私ではない事を知っている」
男が少年との距離を一気に縮める。少年は微かに身体を震わせ本能的に彼から距離を取ろうと後退るも彼はそれを許さない。
「このご婦人を殺めた犯人……それは」
「……そうだ、僕だ!」
「君ではない」畳む
#SS 380文字
お一つどうぞ――木苺をあげましょう
軽やかにステップを踏みながら、集まる子供に小さな苺を配り歩く。
お一つどうぞ――命は廻る
籠の中にたわわと収穫されたそれが輝いている。
女は歌う。
収穫の祝いの歌を。
女は踊る。
豊穣の女神に。
次の収穫の為に陽の神に雨の神に
感謝と次なる収穫を祈って
子供は木苺を直ぐに頬張る。
おいしい
すっぱい
反応は様々だが皆一様に笑みを浮かべていた。
……
女は1人立ち竦む。
人の気配のないその村の中心で。
星だけが彼女を捕え、月が淡い光で指し示す。
静かな夜に女は踊る。
彼女だけが覚えている
廓大なる賛美の声を思い出しながら。
次の豊作をただ願って。畳む
#SS 272文字