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最終更新 2026/08/13

冬の村

深閑と雪が降り積もる村がある。
一年中、ずっと止まぬそれと共に暮らす村がある。

彼らは日の光の優しさを知らない。
彼らは雪解けの春の香りを知らない。

子供たちは雪でつくられた自分たちの秘密基地の中で
親から手渡される絵巻物でしる外の世界に夢を乗せて語り合う毎日。

春の花を 夏の空を 秋の恵を
彼らは知ることなく一生を終える。

ある歳、1人の少年がこの閉ざされた冬の世界に疑問を投げかけた。

大人たちは子供の戯言と
子供たちは変わったやつだと

少年の言葉を真面に聞いてくれることは無い。

それでも少年は見てみたかった。
この村以外の世界を。

ある朝、1人で村を出る決意をした少年。
村の出入り口で待ち構えていた長老が一つの地図を差し出した。

「知ることが悪い事ではない。しかし、それが幸福とはいわん」

少年は首を傾げつつもその地図を受け取る。
始めてみる外の地図に目を大きく見開いた。

「これを持ち出るもよし、だが、それはこの村と悠久の別れとなるだろう」

長老は尚も語る。

「外の世界は、この村より遥かに魅力的だ。だが我らはこの村に留まる事を選んだ。少年よ、お前は先祖代々が選んだ村を捨て世界を欲するか?」

少年は長老の目を見据え答えた。

「それでも知りたいのです。皆がこの村を選んだ理由を。それは此処ではかなわない事なのだから」
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