2026.06.29 パソシナ お返事
お手紙ありがとうございます。
思わせる人→その人です。
初稿はしっかり名前があったのですが、ひよりました。すみません。
恐らく一問一答のときにえげつない事になっているなずなので、優しいかどうかは明言を避けておきます。
キノコでも宜しくお願い致します。畳む
お手紙ありがとうございます。
思わせる人→その人です。
初稿はしっかり名前があったのですが、ひよりました。すみません。
恐らく一問一答のときにえげつない事になっているなずなので、優しいかどうかは明言を避けておきます。
キノコでも宜しくお願い致します。畳む
灰桜キャラクター練り用SS
夢を売る。
身も蓋もない言葉に聞こえるが、この世界――ひいては監房棟クアドラに収監されている囚人にとっては、一つの生きる手段である。
ローゼルク監獄に、灰桜と自身の名を名乗る看守が居る。何処をどうそうなったのか、それは本件で語るにはまだ設定が練られていないというご都合の元伏せてはおくが、囚人達の『夢』に異様な執着を持っている。曰く、ただの性へ――趣味、この監獄の運用において何の意図もないという。しかしながら、個人のプライバシーを一応鑑みるに、権力をかざして話させるものでもない……という考えの元、灰桜は囚人に対価を渡すことで夢の話を得ることにしている。
―― 対価とは、報告の間の茶と菓子の提供
故に、監獄棟の中でも特にクアドラの、貴重な糖分補給所として利用されている。
「駄目だ、死にそう。……ちょっと売ってくるわ」
お腹を擦りながら、今日もまた一人生きるために夢を売る。
ある囚人の記録
・所属:クアドラ
・話者:〇〇 氏
・対価:蜂蜜たっぷりのホットミルク、クッキーをひと籠
※本人の強い希望によりミルクを採用。郷土に伝わる入眠の習慣、幼少期に母堂より与えられていたものとのこと。良質な睡眠による次の夢の提供を期待し受理とした。
────────
「それは巨大な龍を屠った後から始まったと思う」
夢なんてそんなものだと肩をすくめ。
「元の世界で冒険者だったからな、先ずは火を起こし、それから龍を解体した。あの世界にいた頃の俺なら、牙とか鱗とか…そういう。だが不思議なことに迷わず肉を求めた」
一口、ミルクを啜る。急速にその液体が体内に巡ると身体の強張りが溶けるように力が抜ける。
「持ち合わせていた香辛料を荒く挽して火に焚べる。匂いも熱さも、感じる事は勿論ないけど、火の弾ける音が妙に生々しくて、それから聞いたことがない腹の音」
カップの中のミルクはあっという間に底をつき、◯◯はちらりと灰桜をみる。「少し待て」と一言告げ中座した後数分でおかわりを持って戻ってきた。
「感謝。んで、焼き上がった龍の肉を食べて食べて…全部食べきった。そうしたら一瞬暗転したかと思うと、あの音がした」
「あの音とはなんだ」
「腹の音。あれだけ食べたのにな。そうしたら、眼の前にまた龍が横たわっていて『そうか、まだ食べていなかったのか』って。そうして最初に戻る。起きるまで永遠に」
元々龍に遭遇し勝つことさえままならない筈なのに、疑問も持たず食べ続けたのも恐怖である。だが一番の恐怖は目が覚めた時だと◯◯は続けた。
「あんなに食べたのに目が覚めればまた腹が鳴る。地獄だよ。こんなもんでいいか?」
「ああ、また一つ物語が追加できた。食べ終えたら戻れ、点呼に間に合わないのは問題だ」
そうしてほんの少し腹を満たして◯◯は立ち上がる。
「そういや夢占いしてくれないのか?」
「おや、してほしいのか」
「まあ…せっかくだし」
机に数回ペンの先を叩いてから、灰桜は見上げ◯◯を観た上で…
「◯◯氏の場合は…」
と、紙にそれを書き上げ渡した。
───────
■渡された紙
底なしの食欲は、愛への欲求が暴走しかけている兆し。
内発的な自己肯定感が枯渇しており、他者からの強烈な愛情を強奪・同化することでしか自己肯定出来ない状況。言葉通り飢えている。
───────
「どうだった?」
監房に戻れば待ち構えている同室の囚人。持ち帰った紙を渡せば、それを読んで軽く吹き出される。
「愛っ」
「いい加減だよな。夢だって適当に考えた話なのに」
紙を取り返すと手でぐしゃっと丸めてごみ箱へ。
「あんな話何が面白いのかわからないけど、まー、お陰で生き延びられる。あ、時間か」
遠くから点呼を取る看守の声。こうして◯◯の一日は終わりを告げた。
───────
「あの囚人、適当な話をしてなかったか?」
「気づいたのか、私もそう思ってるよ」
囚人が去った後の看守同士の会話がそこにあった。声を掛けてくれた看守に灰桜はほんの少し唇の端を釣り上げて。
「彼はしてやったと思ってるだろう。だが今日彼は確かに夢を売った」
「意味がわからない」
「蜂蜜入りホットミルク…あれは彼の夢そのものだ。もう一度飲みたかったと夢を見て、それを私に売ってしまった。今夜はとても残酷な夢を見るだろう。その時はきちんと…」
―― 詳細を報告させねばな畳む
文字数 1743文字 #PBW #SS
夢を売る。
身も蓋もない言葉に聞こえるが、この世界――ひいては監房棟クアドラに収監されている囚人にとっては、一つの生きる手段である。
ローゼルク監獄に、灰桜と自身の名を名乗る看守が居る。何処をどうそうなったのか、それは本件で語るにはまだ設定が練られていないというご都合の元伏せてはおくが、囚人達の『夢』に異様な執着を持っている。曰く、ただの性へ――趣味、この監獄の運用において何の意図もないという。しかしながら、個人のプライバシーを一応鑑みるに、権力をかざして話させるものでもない……という考えの元、灰桜は囚人に対価を渡すことで夢の話を得ることにしている。
―― 対価とは、報告の間の茶と菓子の提供
故に、監獄棟の中でも特にクアドラの、貴重な糖分補給所として利用されている。
「駄目だ、死にそう。……ちょっと売ってくるわ」
お腹を擦りながら、今日もまた一人生きるために夢を売る。
ある囚人の記録
・所属:クアドラ
・話者:〇〇 氏
・対価:蜂蜜たっぷりのホットミルク、クッキーをひと籠
※本人の強い希望によりミルクを採用。郷土に伝わる入眠の習慣、幼少期に母堂より与えられていたものとのこと。良質な睡眠による次の夢の提供を期待し受理とした。
────────
「それは巨大な龍を屠った後から始まったと思う」
夢なんてそんなものだと肩をすくめ。
「元の世界で冒険者だったからな、先ずは火を起こし、それから龍を解体した。あの世界にいた頃の俺なら、牙とか鱗とか…そういう。だが不思議なことに迷わず肉を求めた」
一口、ミルクを啜る。急速にその液体が体内に巡ると身体の強張りが溶けるように力が抜ける。
「持ち合わせていた香辛料を荒く挽して火に焚べる。匂いも熱さも、感じる事は勿論ないけど、火の弾ける音が妙に生々しくて、それから聞いたことがない腹の音」
カップの中のミルクはあっという間に底をつき、◯◯はちらりと灰桜をみる。「少し待て」と一言告げ中座した後数分でおかわりを持って戻ってきた。
「感謝。んで、焼き上がった龍の肉を食べて食べて…全部食べきった。そうしたら一瞬暗転したかと思うと、あの音がした」
「あの音とはなんだ」
「腹の音。あれだけ食べたのにな。そうしたら、眼の前にまた龍が横たわっていて『そうか、まだ食べていなかったのか』って。そうして最初に戻る。起きるまで永遠に」
元々龍に遭遇し勝つことさえままならない筈なのに、疑問も持たず食べ続けたのも恐怖である。だが一番の恐怖は目が覚めた時だと◯◯は続けた。
「あんなに食べたのに目が覚めればまた腹が鳴る。地獄だよ。こんなもんでいいか?」
「ああ、また一つ物語が追加できた。食べ終えたら戻れ、点呼に間に合わないのは問題だ」
そうしてほんの少し腹を満たして◯◯は立ち上がる。
「そういや夢占いしてくれないのか?」
「おや、してほしいのか」
「まあ…せっかくだし」
机に数回ペンの先を叩いてから、灰桜は見上げ◯◯を観た上で…
「◯◯氏の場合は…」
と、紙にそれを書き上げ渡した。
───────
■渡された紙
底なしの食欲は、愛への欲求が暴走しかけている兆し。
内発的な自己肯定感が枯渇しており、他者からの強烈な愛情を強奪・同化することでしか自己肯定出来ない状況。言葉通り飢えている。
───────
「どうだった?」
監房に戻れば待ち構えている同室の囚人。持ち帰った紙を渡せば、それを読んで軽く吹き出される。
「愛っ」
「いい加減だよな。夢だって適当に考えた話なのに」
紙を取り返すと手でぐしゃっと丸めてごみ箱へ。
「あんな話何が面白いのかわからないけど、まー、お陰で生き延びられる。あ、時間か」
遠くから点呼を取る看守の声。こうして◯◯の一日は終わりを告げた。
───────
「あの囚人、適当な話をしてなかったか?」
「気づいたのか、私もそう思ってるよ」
囚人が去った後の看守同士の会話がそこにあった。声を掛けてくれた看守に灰桜はほんの少し唇の端を釣り上げて。
「彼はしてやったと思ってるだろう。だが今日彼は確かに夢を売った」
「意味がわからない」
「蜂蜜入りホットミルク…あれは彼の夢そのものだ。もう一度飲みたかったと夢を見て、それを私に売ってしまった。今夜はとても残酷な夢を見るだろう。その時はきちんと…」
―― 詳細を報告させねばな畳む
文字数 1743文字 #PBW #SS
初パーソナルシナリオ、無事納品されました。数多のマスターから私を選んで下さって感謝に尽きません。
ご依頼ありがとうございました!
追記
お手紙ありがとうございました!
とても単純な人間なので、書きたい欲が増してしまった…。これはX登録しどきなのだろうか。とはいえ、1人受付→納品→1人受付の流れは崩せない。
ご依頼ありがとうございました!
追記
お手紙ありがとうございました!
とても単純な人間なので、書きたい欲が増してしまった…。これはX登録しどきなのだろうか。とはいえ、1人受付→納品→1人受付の流れは崩せない。
この時間は胃に悪い。
何かに祈ってる。怖いものは怖い。
それはそれとして、灰桜の運用を練りたい。練ってない。
何かに祈ってる。怖いものは怖い。
それはそれとして、灰桜の運用を練りたい。練ってない。
昔書いていた某作品の二次創作
色気全く無いBL。メリバ…でもないな。
『はざま』と呼ばれる場所がある。
生の世界では天国とも地獄とも言われる場所、生の世界を終えて次の生に備えるための準備をする場所、といえばいいのだろうか。その場所にいる者たちは次の生の為に、過去の汚れを浄化して無垢な存在としてまた地に還る。つまりここに到着したばかりの者ほど過去の世に捕らわれ、新たな世の準備ができた者ほど過去の記憶が失われている。そんな場所だ。
俺はその魂達を管理する監督者である。どのぐらいこの仕事をしているかは忘れた。時間なんて気にしてられる程、短い期間じゃねえのは確かだ。
そして今、新しい魂の担当を言い渡された。
やってきた魂は享年15歳、名を✕✕✕と伝えられる。まだ若々しいエネルギーに溢れた魂だった。それ以外の情報は特に伝えられない…情報は必要ねえからだ。情報は魂に語らせればいい。語るという行為が、記憶の消去に繋がる。つまりはおしゃべりな奴ほど輪廻までのスパンが短いって事だ。
ただしどういう法則かわからねえが、名前を忘れるのは一番最後と決まっている。名前を忘れた時がその時だと、仕事面で言えば楽っちゃ楽なんだが。名前というのは、生の世界に縛りやすいものなんだと誰かが言っていた気がする。
ともかくこれから✕✕✕が、己の名前を忘れるまでの間、俺はこいつと共に生活をすることになる。多くの記憶を語らせ捨て去る為に。
「お前はどうして死んだんだ」
仕事の第一声はたいがいこれから始まる。人にとって一番忘れたいのは死に際の様が多いからだ。✕✕✕は小さく唸った後、ただ薄く笑みを浮かべるだけで答えない。
「なんだ、覚えてないのか?」
「……」
基本、魂というのは自己主張が激しい。だがこいつは違うようだ。ただ笑い、首を傾げ、喋る事を拒否しているように見えた。つかみどころが無いし会話を引き出せないので、こいつは骨が折れそうな案件だと思った。
「てめえは何故語らない」
記憶に関わらない質問を投げてみることにした。
「喋ると忘れると聞いて」
輪廻転生のシステムは、俺の様な監督者にわたる前に必ず一通りの説明をうける。説明内容は多岐にわたるが、簡単にいっちまえば『転生すれば次の幸せがまってるよ★』的な洗脳を受ける。『幸せ』という、物差しで測れん幻想に縋らせ記憶を奪う。魂は本能的に『幸せ』を求めてしまうものだから。
「忘れたくねえ事があるのか」
「ええ」
即答される。声、という概念は無いが、魂の力強い意志が感じられる。こいつは手なずけるのはやはり難しそうだ。と、思った矢先だった。
「貴方は俺が転生したほうがいいと思いますか?」
逆に質問をされる。
「そりゃ、ここに止まってたとしていいことは無いだろ」
「どうしてです?」
「15歳で若死にしてる魂が幸せだったとは思えねえ。なら次の生で今世の分も幸せになればいい」
俺の言葉には同意を示せないのか首を横に振る。
大事な記憶に抵触しないように、言葉を選んでるように、魂が迷ってるように見えた。
「貴方は俺の事を覚えてないですか?」
「…?」
「監督者は、世に未練がありすぎる者がなる…と。別の魂の汚れを御祓、その長い過程で俺達同様転生するんだと聞きました」
「それは誰から聞いた」
「前の担当者からです。俺、他の人には喋らないと、貴方を指名して担当替えしてもらったんですよ」
「…」
つまりは、こいつは生きていた時の俺を知っていると言いたいのだろう。
「……やっぱり覚えてないんですね」
魂は残念そうに蒼白い光を放つ。
「俺を知っているのか」
「…ええ。だから俺今幸せなんです。貴方に会えたから。ああ、でもこれ言っちゃうとこの幸せも忘れちゃうのかな」
魂が蒼白く色を発する。これは浄化という名の忘却の合図。
「これから俺の事を話します。…そして先に待ってます。貴方がここから開放されるのを」
魂は語り始める。壁の中の世界で味わった苦悩の日々を。それは15歳という人生にしては長く重い物語だった。あちらの世界の何日間だろう、数日間という期間話につきあった。話す度に徐々に消えていく記憶に戸惑いながらも、こいつは話す手順を組み立てていた。
「ああ、もう残ってない。たった2つ以外」
「なんだ」
これが最後ですね、と✕✕✕は告げる。
「俺の名前と、俺が愛した人の名前」
「15で愛を語るか」
「年齢なんて関係ないです。生きていた時に伝えられなかったから、代わりに聞いていただけますか?」
「ああ」
「■■■■さん、俺、貴方の翼になりたかった。今飛べない貴方の代わりに、俺が羽になりますね」
そういうと、魂は金色に輝く。浄化が終了し最後の名前の忘却が完了した証拠だ。
その魂は直ぐさま次の転生準備にはいる――つまり、俺の手元から離れる。
俺の元から消えた魂の残り光を見つめながら、俺自身の何かが震えるのを感じた。
「言うのが遅えよ」
監督者。それは思い残しが強すぎて転生できない魂の慣れはて。はざまの世界で黒い鎖に捕らわれた人に戻れねえ魂の事をいう。
✕✕✕が消えたその時、俺に絡まっていた鎖が解けた。一気に流れ来る後悔に満ちた記憶。そして忘れたくなかった感情を取り戻して目頭が熱くなる。
「次は俺から言わせろ、くそガキが」:畳む
#SS 2,112文字
色気全く無いBL。メリバ…でもないな。
『はざま』と呼ばれる場所がある。
生の世界では天国とも地獄とも言われる場所、生の世界を終えて次の生に備えるための準備をする場所、といえばいいのだろうか。その場所にいる者たちは次の生の為に、過去の汚れを浄化して無垢な存在としてまた地に還る。つまりここに到着したばかりの者ほど過去の世に捕らわれ、新たな世の準備ができた者ほど過去の記憶が失われている。そんな場所だ。
俺はその魂達を管理する監督者である。どのぐらいこの仕事をしているかは忘れた。時間なんて気にしてられる程、短い期間じゃねえのは確かだ。
そして今、新しい魂の担当を言い渡された。
やってきた魂は享年15歳、名を✕✕✕と伝えられる。まだ若々しいエネルギーに溢れた魂だった。それ以外の情報は特に伝えられない…情報は必要ねえからだ。情報は魂に語らせればいい。語るという行為が、記憶の消去に繋がる。つまりはおしゃべりな奴ほど輪廻までのスパンが短いって事だ。
ただしどういう法則かわからねえが、名前を忘れるのは一番最後と決まっている。名前を忘れた時がその時だと、仕事面で言えば楽っちゃ楽なんだが。名前というのは、生の世界に縛りやすいものなんだと誰かが言っていた気がする。
ともかくこれから✕✕✕が、己の名前を忘れるまでの間、俺はこいつと共に生活をすることになる。多くの記憶を語らせ捨て去る為に。
「お前はどうして死んだんだ」
仕事の第一声はたいがいこれから始まる。人にとって一番忘れたいのは死に際の様が多いからだ。✕✕✕は小さく唸った後、ただ薄く笑みを浮かべるだけで答えない。
「なんだ、覚えてないのか?」
「……」
基本、魂というのは自己主張が激しい。だがこいつは違うようだ。ただ笑い、首を傾げ、喋る事を拒否しているように見えた。つかみどころが無いし会話を引き出せないので、こいつは骨が折れそうな案件だと思った。
「てめえは何故語らない」
記憶に関わらない質問を投げてみることにした。
「喋ると忘れると聞いて」
輪廻転生のシステムは、俺の様な監督者にわたる前に必ず一通りの説明をうける。説明内容は多岐にわたるが、簡単にいっちまえば『転生すれば次の幸せがまってるよ★』的な洗脳を受ける。『幸せ』という、物差しで測れん幻想に縋らせ記憶を奪う。魂は本能的に『幸せ』を求めてしまうものだから。
「忘れたくねえ事があるのか」
「ええ」
即答される。声、という概念は無いが、魂の力強い意志が感じられる。こいつは手なずけるのはやはり難しそうだ。と、思った矢先だった。
「貴方は俺が転生したほうがいいと思いますか?」
逆に質問をされる。
「そりゃ、ここに止まってたとしていいことは無いだろ」
「どうしてです?」
「15歳で若死にしてる魂が幸せだったとは思えねえ。なら次の生で今世の分も幸せになればいい」
俺の言葉には同意を示せないのか首を横に振る。
大事な記憶に抵触しないように、言葉を選んでるように、魂が迷ってるように見えた。
「貴方は俺の事を覚えてないですか?」
「…?」
「監督者は、世に未練がありすぎる者がなる…と。別の魂の汚れを御祓、その長い過程で俺達同様転生するんだと聞きました」
「それは誰から聞いた」
「前の担当者からです。俺、他の人には喋らないと、貴方を指名して担当替えしてもらったんですよ」
「…」
つまりは、こいつは生きていた時の俺を知っていると言いたいのだろう。
「……やっぱり覚えてないんですね」
魂は残念そうに蒼白い光を放つ。
「俺を知っているのか」
「…ええ。だから俺今幸せなんです。貴方に会えたから。ああ、でもこれ言っちゃうとこの幸せも忘れちゃうのかな」
魂が蒼白く色を発する。これは浄化という名の忘却の合図。
「これから俺の事を話します。…そして先に待ってます。貴方がここから開放されるのを」
魂は語り始める。壁の中の世界で味わった苦悩の日々を。それは15歳という人生にしては長く重い物語だった。あちらの世界の何日間だろう、数日間という期間話につきあった。話す度に徐々に消えていく記憶に戸惑いながらも、こいつは話す手順を組み立てていた。
「ああ、もう残ってない。たった2つ以外」
「なんだ」
これが最後ですね、と✕✕✕は告げる。
「俺の名前と、俺が愛した人の名前」
「15で愛を語るか」
「年齢なんて関係ないです。生きていた時に伝えられなかったから、代わりに聞いていただけますか?」
「ああ」
「■■■■さん、俺、貴方の翼になりたかった。今飛べない貴方の代わりに、俺が羽になりますね」
そういうと、魂は金色に輝く。浄化が終了し最後の名前の忘却が完了した証拠だ。
その魂は直ぐさま次の転生準備にはいる――つまり、俺の手元から離れる。
俺の元から消えた魂の残り光を見つめながら、俺自身の何かが震えるのを感じた。
「言うのが遅えよ」
監督者。それは思い残しが強すぎて転生できない魂の慣れはて。はざまの世界で黒い鎖に捕らわれた人に戻れねえ魂の事をいう。
✕✕✕が消えたその時、俺に絡まっていた鎖が解けた。一気に流れ来る後悔に満ちた記憶。そして忘れたくなかった感情を取り戻して目頭が熱くなる。
「次は俺から言わせろ、くそガキが」:畳む
#SS 2,112文字
熱量籠もったお手紙、感謝です。
後でまた読み返してニヤニヤする所存。
アイビーですが、花言葉の裏には『死んでも離れない』という意味もあるそうです。つるが絡まり合う様がまさに。
コニーリオさん、お兄様方、灰桜、全てがこのアイビーに絡め取られているのかも。と適当に濁しておきます畳む